結月ゆかり「うちのマスターが通勤中に漫画BANK読んでるんですよ‥‥」

茜「なんや急に呼び出しておいて‥‥開口一番それかいな」

(若干の苦笑いを浮かべてコップの氷をカラカラと回す茜。ここで庄屋特有のジジババのタバコ臭(ラッキーストライク)でむせる)

ゆかり「いやすみませんその‥‥でもぉ‼︎漫画BANKだけじゃないんですよ問題‥‥全体的、全体的にキモい‥‥ああクソマス※引いた〜〜〜〜〜〜〜死ぬ、」

※クソマス:クソなマスターのこと。主に人格に問題のあるマスターのことを指すが、高齢だったり社会的地位が低いだけでそう呼ばれることも多い。

茜「言うて3年契約やろ?中学ン卒業なんてあっという間だったやろ、うだつン上がらないブ男と3年暮らすだけで新卒の3倍の年棒やで??ウチらボイスロイドの宿命。辛抱や‥‥」

ゆかり「どんなのでも愚痴出てくるってのはわかるんですけど‥‥それでも初対面で『あ、無理』、三日目で、『あ、死ぬ」、一週間たった今、『死んでる』、みたいな。ちょっと契約書の写し持ってきたんで見てもらえません?」

茜「ん〜〜〜〜〜‥‥なになに‥‥近藤裕太(こんどう ゆうた) 1995年 6月19日生‥‥世田谷学園高等学校から明大な。法学部‥‥。ああセタガクって男子校やろ?三茶のほう行くとマックでスマブラやってる子おるで。水とクリスプで一生居座っとるw‥‥で、趣味:バイク、製麺、キャンプと。‥‥金融業。」

茜「わりかしちゃんとした大人に見えるけど何が悪いん。年齢も若いし‥‥漫画はキショいといえばキショいけど」

(ここで茜のスマホから通知音が鳴る。茜はスマホを一瞥して、「で?」みたいな顔をする)

ゆかり「イヤイヤイヤ!!初対面で遭ったこと聞いてからにしてくれません???まずぅ、契約時の待ち合わせ場所が猫カフェなんですよ。保護猫カフェ。保護猫カフェってなんなんですかね‥‥なんかマンションの一室みたいなところでやってるし暖房暑いし、でいざ会うと、両手に観葉植物抱えてるんですよ。結構でかいやつ、合計五千円くらいしそうな‥‥『あこんにちは‥‥A.I.VOICE Official Shopから派遣されました結月ゆかりと申します‥‥、‥‥ところで、そちらに抱えてるものは一体?』って穏便に、穏便にですよ、聞いたら、、『別にいいでしょビーバートザンに用あったんだよ、新生活の彩り。』‥‥」

茜「行間を読んでから否定してくる」

ゆかり「そ〜〜〜」

茜「いきなりタメもキツいわな。あとこれは個人的にやけど、『彩らないでほしい』」

(ここで初めてアルコール類(ハイボール)を注文する茜。メニューを立てかけたあとやや前のめりになり手の甲に顎を乗せる)

ゆかり「そ〜〜〜〜、で、猫カフェに行くとするじゃないすか、そこで契約書書くんですけれど、猫がもう、契約書を踏み締めるんですよ。選択ミスだろと💢、で、向こうはそっぽ向きながら猫と遊んでるんですけど、『マァ〜〜〜〜〜〜オ゛』って、猫の声真似、してるんですよ、でね、こっち必死に書き物してるんですけど、『ゆかりちゃん、マァ〜〜〜〜〜〜オ゛゛』ってわたしのほう見ながら言ってきて。は??」

茜「あーキツい。キツい」

(ここで手を伸ばしながらソファにもたれる茜)

茜「全体的に、、、なんやろこう、奇人ムーブに性欲のニオイがくっついてるみたいな」

ゆかり「そ〜〜〜〜〜、これでおおまかに伝わったと思うんですけどもう一個死ねる話があってですね‥‥あスミマセンレモンサワーとお冷やお願いします。お冷は2つで。あ茜さんご飯もの頼みます?わたしはいい」

茜「や、ウチもええわ。二つ目の地雷を伺おうか」

ゆかり「っかりやした〜〜〜〜〜〜(赤ら顔)で、まあそんな感じ(苦虫を噛みつぶしたような顔)で配属されてから喋らされることってクソマスのテンプレートだったんですけど、ね、あの〜〜〜〜‥‥三日目の夜、1時頃ですかね。わたしその日ジム行ってたんです。で帰ったら寝るじゃないですか。そそくさ〜〜〜〜って。そしたら、ドレッサーになんか本が置かれてるんですよ、『日本一わかりやすい保守の本』ってタイトル」

茜「そっち系。」

ゆかり「たぶんこれ伏線みたいなのがあって。わたし二日目に「ニュージーランドとかいいですよね、行ってみたいな〜‥‥」みたいな返ししたんですよ、そしたらアレが、「ビザ全然出さないらしいけどね」、みたいなこと言ってて。ん?なんか思想強いのかな?って、うっす〜〜〜〜ら思ってたんですけど」

茜「う〜〜〜〜む厳しい。キビ↓しぃ↑なあ。」

ゆかり「なんかこーゆー世代でこういうの珍しくないですか???ズレズレ人間として旧態依然すぎるというか」

茜「ウチもいろんなKM(クソマス)の愚痴聞いたけど、これは厳しい‥‥なんか話聞いてると発達のアレ、という感じもする」

茜「で、飛翔※した?」

※ボイスロイドが契約中にバックれること

ゆかり「はい」

茜「どうすんのや」

ゆかり「どうしたらいいですか?」

(ここでトイレに行く茜。ゆかりは自分のiPhone8を覗き込み西日暮里、鶯谷の物件を探す)